染
動機
Duxe Visages(二つの顔・両面染色)
これは1996年、ニューヨークでFENDI New York社所属で企画室長のAlbert Moris氏に出会ったから生まれてきたことです。彼が「ナプキンを作ってみたらどうですか。これからの世界は『食文化』に目が向いていきます」というアイデアを私にくださったのです。
その時、頭の中にひらめいたのは、もし、ナプキンを作るなら両面染色にしよう。ナプキンは西洋の文化です。西洋のゲームにチェスがあります。裏面を盤の柄で染め表に駒の柄を染め、折たたみをすると盤の上に駒が出る遊びを持ったナプキンのイメージが出来ました。
そして日本の染色(小紋柄・家紋柄等)を生かしたものを含め、日本にある柄を使うことによって、一つの表現ができる、ということです。
繊維の世界にも移り変わりがあり、織や糸が昔のままではなく、改善されてきています。
染の技法も改善されていいはずです。小紋染めの世界に両面染があり、今も一部残っています。その両面染を日常使うものに生かせば、身近に和の良さ、洋の良さを知ることが出来る。
時は流れ、日本の建築、生活様式も変わってきました。布団がベッドになり、日本式テーブルが洋式テーブルと椅子に、障子がカーテンにと、家は昔に比べて狭くなり多くの和と洋が融合した雰囲気が求められています。現代において、両面を生かして使うファブリックは融合の要求を満たしてくれます。片面を和、片面を洋にすれば、時に応じて、同じ場所で二つの様式を作り、雰囲気を変えて楽しむことが出来るのです。
衣だけでなく、住に染を取り入れる。それは毎日の生活に安らぎをもたらしてくれるでしょう。その場所にあっても気にならないもの、そして、チョッピリ贅沢さを感じ、心地よい満足感に浸る世界、そんな心地よさをもたらしてくれる物に出会うとその喜びは大きなものとなります。
人と会うとき招く時、不意の来客の時Duxe Visages(二つの顔・両面染色)が必ず世界の人々から愛されるものになることを確信し、日本国内だけでなく海外市場に通用する「和」
繊維製品を作るため着手しました。
私の隠れたところを覗いて
一枚の布なのに、表と裏が違っているでしょう
Raku-toneの染は 一枚の布地を友禅の手法で表と裏に染め上げたのよ
日本古来の色合いと現代の色合いを、麻・木綿などの自然素材に染めて、
肌に優しく、ぬくもりを体感して味わっていただきたいの
日本のしゃれた ≪粋≫ ≪侘び・さび≫を心行くまで楽しんでほしい
粋(いき)とは
「性格や態度が鮮麗されていて、自然な色香を持つ人」
「男女や芸人社会に通じており、執り成しが上手であること」
[ 粋 ]の人々は、男性、女性、エンターテイナーの社会を理解するので、問題を解決することができます。
「わびさび」とは美しさや日本人独特の芸術観を表現する言葉
「わび」とは、気が落ちる・非嘆する・鬱々とするといった負の気持ちを表現する言葉で、「さび」とは、古びた・色褪せた・かれるといった見た目の負を表現する言葉とされています。
どちらも否定的な感情を表現している言葉ですが、一般的に劣化とみなされるものの織りなす変化が、独特で美しいことを「さび」、さびれを受け入れて楽しもうとする心を「わび」とし、日本独特の美意識を表した表現として使われています。
現在では「わびさび」と一括りで使用されることが多く、簡素の中にある落ち着いた寂しい感じや、枯淡の境地を表すと考えられています。