辻本 和之
辻本 和之
1937-1997
1937年 東京に生まれる
1953年 毎日新聞学生美術コンクール優勝
1960年 慶応大学文学部卒業 美術史専攻(レオナルド・ダ・ヴィンチ研究)
1960年-1964 年 新設の鎌倉近代美術館にキュレーターとして勤務。
1964年 より没年までイタリア・ローマに居住した。
1968年 アチレアーレ国際美術展(シチリア)にて一等賞
1969年 コルチアーノ展で一等賞
1970年 イドリア美術展(スロヴェニア)招待作品
1970年 国際タイル・デザイン応募展(ナポリ)入賞
1968年よりローマおよびヨーロッパ各地で、また1972年より日本で、数多くの個展・団体展を開催した。
作品所蔵美術館:
神奈川県立美術館(元鎌倉近代美術館)、国立国際美術館、イドリア美術館など
心情
光と立体
辻本和之(1974)
作品は内から湧き出るものではあるけれども、実際私達絵を描く時一番考えさせられるのは、形、色とその画面構成です。そしてこの形、色構成により責任を強く持たなければいけないと思っているうちに、「光」と「立体」というふたつの課題になりました。自然は太陽(光)によってすべて活き、それぞれの生命(立体)を与えられ、その全体の必然的調和(構成)の中で真実となって広がる大宇宙です。私達自身がこの中の一部として自己を自覚する一瞬(生の自覚)を、何らかの方法でとどめておきたい(創作)・・・こんな気持を私達は昔から持ってきました。レオナルド・ダ・ヴィンチは、この方法として、先ず 第一に科学的自然研究を深め、描写を出来る限り自然に近づけ、それに自然の秩序にかわる絵画の秩序を加えて人為的宇宙の世界を築き、作品に生命を与えたわけです。このように作品をいったん自分の外に置いて、一つの虚構として意識化する姿勢に立って考え直すと、自然の構成は、作品では光と立体の相互関係によって息づかされます。光(色)は立体面(形)によって明快に具体化されて輝き、立体は光によって空間を深め、構成を強め、したがって作品の生命を増す。云いかえて生命力は光と立体によって現実になるともいえると思います。